SAP 間接アクセスの注意点

大手のソフトウェア・ベンダーとその顧客との間で訴訟沙汰になるというニュースはしばしば耳にします。2015 年、Adobe はファッション・アパレル大手の Forever 21 に対し、海賊版ソフトウェアの不正使用の疑いがあることを理由に訴訟を起こしました。また、翌 2016 年には、Bitmanagement という名称の会社が、米国海軍が 6 億ドル相当のソフトウェアをライセンスなしに不正使用したという理由で提訴しました。

これらは、ライセンスなしに無断でコピーしたソフトウェアを使用している疑いのある組織に対する訴訟を象徴した事例です。エンタープライズ・ソフトウェア・ライセンス契約書に書かれている内容はきわめて複雑です。企業はネームド・ユーザーやデバイスの具体的な人数や台数、1 つのサーバーに含まれるプロセッサの固定台数、さらには同時ユーザー数など、さまざまなライセンス・メトリックに基づいてソフトウェア製品のライセンスを付与します。顧客企業による無断コピー・ソフトウェアの使用は意図的でない場合がほとんどで、契約内容や製品使用権、ライセンス・モデルが複雑であることが原因です。

多くのソフトウェア・ライセンス・モデルでは、ライセンスで許可されたユーザー/デバイス/プロセッサなどの数が一定数を超えた場合、ソフトウェア・ライセンス契約書の規定に違反したと見なされます。

ところが、「ネームド・ユーザー」の資格条件の定義に不透明さがある場合はどうなるでしょう?

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この点が最近の判決において大きな問題となっています。SAP UK と Diageo Great Britain の裁判では、イングランド・ウェールズ高等裁判所が、飲料メーカー大手の Diageo に対して「間接ユーザー」に関して 5,500 万ポンド超の損害賠償を請求する SAP の主張を支持する裁定を下しました。そして、この判決は、顧客対応システムと SAP データベースを統合していた大企業にきわめて大きな影響を及ぼすことになりました。

このケースの場合、Diageo は、2004 年以来、ネームド・ユーザーの数に基づく mySAP Business Suite のライセンスを取得していました。今から数年前、Diageo は Salesforce.com プラットフォーム上に 2 つの新しい顧客対応アプリケーションを開発しました。その新しいシステムは、ライセンスを取得している SAP Process Integration(SAP PI)インターフェイスを介して Diageo の mySAP 実装にアクセスするものでした。

この裁判の争点は、SAP PI のライセンス料を支払った Diageo は、総勢約 5,800 人にのぼる営業スタッフと顧客に、Salesforce アプリケーションを介して SAP データにアクセスさせることができるのか、あるいはその全員を「ネームド・ユーザー」として登録する必要があるのかどうかというものでした。

これに対し、高等裁判所はネームド・ユーザーのライセンス料が Diageo の 5,800 人の間接ユーザーにも適用され、Diageo はすべてのサービスに対して SAP に支払った合計額にほぼ匹敵する金額のライセンス料を新たに支払う義務があることを明確に示す判決を下しました。

この裁判の判事は、SAP PI が SAPのアプリケーション・スイートにアクセスできる「ゲートキーパー」ライセンスであるという被告側の主張を退けました。そして、「間接アクセス」に対してもライセンス料は当然支払われるべきであることを認めた一方で、5,800 人の間接ユーザーが、基本的に最も高価な SAP ネームド・ユーザー・ライセンス・タイプであるプロフェッショナル・ユーザー・ライセンス料として総額 9,400 ポンドを支払うべきであるという SAP の主張にもかかわらず、Diageo の顧客について、ネームド・ユーザー・ライセンスの具体的なカテゴリを特定しませんでした。

この決定を受けて、Diageo は 5,800人の間接ユーザーを対象とするライセンス料を支払う必要がありますが、金融負債については未だ確定されていません。

Licensing SAP® Software.A Guide for Buyers」という資料によれば、間接アクセスは次のように定義できます。

「SAP ソフトウェア・ライセンスは、ソフトウェア機能の利用に基づいており、ソフトウェア機能やデータへのアクセスに使用される技術インターフェイスとは独立しています。お客様のソフトウェア・ライセンスは、ネームド・ユーザーにパッケージ・ライセンスを加えたライセンス・モデルに沿った SAP ソフトウェアの使用に基づいています。このライセンス・モデルに従い、お客様のソフトウェア・アーキテクチャによって生じる可能性のあるアクセスにはライセンスが必要になります」

この事例は SAP の間接ライセンス・モデルを基本的に支持するものとなりました。これにより、SAP 販売店は、すべての間接ユーザーに対して責任を負わなければならないことが考えられ、財政的にきわめて多大な影響を受ける可能性があります。ただし、SAP 間接ライセンスには知っておくべきことがいくつかあります。SAP Indirect Access and User Identity Management(SAP 間接アクセスおよびユーザー ID 管理)というタイトルの Flexera のブログにもあるように、ある企業で、直接アクセスできるネームド・ユーザーが間接アプリケーション経由で SAP データにもアクセスできる場合、必要なライセンスは 1 つだけです。また、自社に複数の間接アプリケーション用のアカウントを持つユーザーがいる場合、すべてのシステムにアクセスするために必要なのは、1 つの SAP ネームド・ユーザー・ライセンスだけです。

では、SAP 間接アクセスで生じる財政的リスクを軽減するには、どうすればいいでしょうか。それには、Flexera の SAP ソフトウェア・ライセンス最適化ソリューションを活用できます。

FlexNet Manager for SAP Applications は、実際の使用状況データの分析に基づいて、アイドル・ユーザーを検出し、重複ユーザーを特定して、各ユーザーに最適なライセンス・タイプを割り当てることで、SAP のネームド・ユーザー・ライセンスを最適化できます。これにより、より低価格のライセンスでユーザー・ニーズを満たすことができる場合は、高価なライセンス・タイプの過剰購入を防止することができるようになります。そしてさらに重要なことは、FlexNet Manager for SAP Applications によって、以下のようにして、間接アクセス・インスタンスの検出や、SAP 以外のシステムのユーザーに関するライセンス要件の管理および最適化が 

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ができるようになるということです。

  • 長期間ログインしておらず、廃止してもよいと思われる SAP 以外のシステム(間接アクセス)のアカウント(アイドル・ユーザー)を特定します。
  • SAP システムと SAP 以外のシステムの両方のアカウントを持っているユーザーを特定し、これらのユーザーに重複してライセンスを付与すること(複数のシステムおよび直接/間接使用でのユーザーの重複)を防ぎます。
  • ユーザーのシステム権限や利用履歴など、使用可能なすべての情報に基づき、SAP 以外のユーザーごとに最適な SAP ライセンス・タイプを特定します。

SAP ライセンスの管理の詳細については、オンデマンドの Web セミナー「Pull Out All the Stops and Make the Right Decisions for SAP License Management(最大限の努力をして SAP ライセンス管理で的確な判断をする)」をご覧ください。KPMG と合同で開催するこのセミナーでは、SAP 間接アクセス・ライセンスの透明性の確保、ネームド・ユーザー・ライセンスとビジネス・パッケージの最適化、および SAP ライセンスの管理に役立つトピックなどについて説明しています。

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