構成管理、IT資産管理、ソフトウェアライセンス最適化のシステム化におけるシステム

選定の考慮ポイント

~CMDB(構成管理DB)、AMDB(資産管理DB)、SLO(ソフトウェアライセンス最適化)ツールなど色々と増えているがどれか一つで事足りないのか?~

国際IT資産管理者協会
武内 烈
  • Oracle、IBM など商用ソフトウェアライセンスの契約を管理しなければならない
  • 自社開発したソフトウェアの構成管理をしなければならない
  • 自社で運用するマルチクラウドのサーバー環境の構成管理をしなければならない
  • クライアント環境のPCを含めた様々なデバイスやソフトウェアを管理しなければならない

大手組織では上記のように様々な課題を抱えています。それを構成管理として取り組むのか、IT資産管理として取り組むべきなのか、あるいは、複雑化するサーバーライセンスの管理はどのようにシステム化して管理するのが良いのかなど悩みはつきません。本ブログでは、これらの課題に対して複数存在するツールの種別ごとにどのような課題のソリューションとして適しているのかを分かりやすく解説します。

市場にはサービスを構成する様々な構成アイテム(Configuration Item: CI)の関係性を管理し一つのサービスの構成状態を把握する目的で提供される構成管理DB(CMDB)が存在します。CI と CI の関係性を管理することを目的とし、サービスを構成する様々なCIを物理的なハードウェア資産、ソフトウェア、ライセンス契約、能力、自社開発のソフトウェアコンポーネント、インフラ、クラウドインフラやクラウド契約など、サービスを構成する構成アイテムは全てを網羅して管理対象としています。
しかし、CMDB はその対応が広範囲であり、汎用性が要求されることから、それぞれのCIを設計し、対象となるCIを管理するための属性情報としての管理項目などの多くはユーザーが設計することが求められます。これは、様々な対象資産やソフトウェアライセンスを管理対象として管理するには設計やテーブル、管理項目の設定など多くの工数を要します。
そこで、あらかじめ対象となる資産に関係する管理項目や、対象となる資産の契約書や発注情報などを管理するに必要となるCIと管理項目や管理ロジックをある程度揃えて提供してくれるIT資産管理に特化したシステムがAMDB(資産管理DB)として提供されるようになりました。
さらに、ライセンス契約の利用規約条件などが複雑化し、商用ソフトウェアライセンスのライセンス契約を利用規約などから管理メトリクスをある程度揃えて提供してくれる商用ソフトウェアライセンスに特化システムとしてSLO(ソフトウェアライセンス最適化)として提供されるようになりました。以下に単純化した関係性を示します。

図)構成管理DB、資産管理DB、SLO の関係性

SLO というツールセグメントはここ数年でガートナーなどに正式に識別されるようになったツールセグメントです。以下は、ガートナー SLOの自動化ツール決定フレームワークは2015年に発表されたものです。

図)ガートナー SLO自動化ツール決定フレームワーク

それぞれのツールには以下のような特徴や強み、弱みがあります。

  1. 汎用CMDB(構成管理DB)
    1. どのようなCIでも設計による管理対象とすることが可能。
    2. システムやサブシステムなど論理的なCIの関係性を管理できる。
    3. サーバーハードウェアやクラウドサービスなどCIを設計することで対応は無限。
    4. ハードウェア資産やライセンス契約などを管理するためには全てのCIと管理ロジックを設計しなければならない。
  2.  AMDB(資産管理DB)
    1. ハードウェア資産やクラウド資産に関係する契約のコントロールに必要となるCIの関係性のテンプレートにより関係性がより容易に管理できる。
    2. ハードウェア資産を管理するための管理項目が用意されており、資産突合などの管理ロジックもあらかじめ提供されている。

    サービスを構成するシステム名やサブシステムの情報などから、自社開発したソフトウェアのコンポーネントの構成管理など対応範囲は広いが、資産管理のための契約や資産突合などの管理ロジックや商用ソフトウェアライセンスを管理するための名寄せのライブラリ、利用規約のライブラリ、管理メトリクスとインベントリの突合ロジックなど対応していないものもあります。

  3. SLO(ソフトウェアライセンス最適化)
    1. 商用ソフトウェアライセンスの管理に特化。
    2. Microsoft、Adobe、Autodesk、IBM、Oracle、SAP、VMWare など複雑化した商用ソフトウェアライセンス契約の利用規約などをライブラリ化し、割り当てしたライセンスのコンプライアンス状態を把握するための管理メトリクスをあらかじめ用意している。
    3. ライセンスの割り当て状態を管理する正台帳の管理を主な機能とし、コンプライアンス状態を検証するために必要となる管理メトリクスを含むインベントリ情報を突合するロジックを提供している。

商用ソフトウェアの管理対象は大手のグローバルベンダーに対応し、契約や購入情報や割り当てなどでは管理者が関係性を紐づけるなど人手とライセンス知識や適切なライセンス割り当てなどスキルセットを要求されるが、突合や検証、変更のための影響分析機能などが自動化されており大規模な仮想環境でのサブキャパシティライセンスや複雑なユーザーライセンスの管理には大いに役立ちます。
その一方で、クライアント環境のPCハードウェア管理にとどまっており、サーバーハードウェアの構成管理は苦手です。商用ソフトウェアのライセンス契約の条件に基づいた管理に特化しているため、自社開発のソフトウェア構成管理などの機能はありません。

今までCMDB や AMDB で苦労されて、ソフトウェアライセンス管理にチャレンジされた方々もいるでしょう。単純にチャレンジしたがCIの設計やテーブルやロジックを設計している段階で、「こりゃ大変だ!」と判明し、挫折した人も、名寄せのライブラリを自社で開発しメンテナンスしたり、ライセンス利用条件のロジックを作ったりとチャレンジを続けた方も、未だにどうしようかと頭を悩ませている人もいるでしょう。
残念ながらそこには、単純明快な解はないのです。
ライセンス契約も契約統合においてエディション統合が実施され、シンプル化された状態があれば、何も複雑なライセンス管理メトリクスを揃えたSLOツールなどいらないはずです。
しかし、ライセンス契約が統合されておらず、エディションも複数のエディションや、ライセンスモデルも複数を利用している、いわゆるガバナンスが効いていない環境だとSLO ツールの利用価値は大きいのです。
その一方で、全体の環境を把握しようとしたときには、SLOとAMDB、CMDB の役割分担を明確に整理して設計し、これらを連携接続して一つのIT環境を全体として把握できる仕組みが求められるのです。
ITIL (IT Infrastructure Library)のv3以降で定義されたCMS(構成管理システム)は複数のCMDBがCMSを構成するアーキテクチャになっています。この場合、CMDB、AMDB、SLOのシステムはCMSを構成するCMDB(目的特化型CMDB)といえるので、CMDB間連携をサポートするSOAPインターフェース(参照:DMTF のCMDBf)が標準で対応されています。ツール選定にあたっては、CMDB、AMDB、SLOツールの相互接続が可能であることが前提条件となでしょう。その際は、対象CIの配分をツール事に決定し、重みづけを行い、どのツールから入力したデータを正とするのかを設計することが大切です。

契約統合によりライセンス契約をシンプル化してからシステム化を内製で行うのか、それとも複雑な契約とライセンス体系、複数のエディションやライセンスモデルを整理するためにSLOツールを導入しAMDB、CMDB連携によりIT環境全体のガバナンスを獲得するのか、選択肢はあるが、最も効果的で効率の良いシステム構築が望まれています。そのためには、ツール選定や実装契約を組織横断的な取り組みにより全体最適化を明確な目標に置いて取り組むべきではないでしょうか。

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